ですから有名な方がやったからいいなんて思わないでください。これをもっと詳しくやると、三時間、四時間かかるんでやめときますけど。
僕の本の中で一番わかりやすいのは、『こんにちは昔話です』って本があります。それが一番わかりやすいです。入門書です。
今日引っ張り上げた「馬方山姥」の例で説明してますから、それを一番始めに勉強してください。そして、昔話本を選ぶとしたら、どうぞいい昔話の再話を選んでほしい。
じゃ、どれがいいんだって言われたら、僕はちょっと躊躇、遠慮しながらですけど、僕のものがいいとはっきり言います。
そして今度、来年春ですね、小峰書店から『語り継ぎたい日本の昔話』という七巻本を出します。ぜひそれを使ってください。これは僕一人ではなくて、日本中の昔話大学の再話研究会で再話を勉強した人たちと一緒にやったものなんです。628人の再話者がいます。とってもいいものができましたので、そういうもの使ってください。
それから宣伝めいて申し訳ないんですけど、昔話に興味があって、勉強するんだったら、福岡のですね、FM福岡というローカルラジオで毎週金曜日30分しゃべっているんです。それが今インターネットラジオで、全国で聞けます。インターネットいじる方やってみてください。
ローマ字で“FM FUKUOKA OZAWATOSHIO”と入れてくださると出ます。「昔話へのご招待」という番組です。それをクリックしていただくと僕の番組は聞けます。
一年以上やってるんですけどぜんぶバックナンバーが聞けますので、とても便利です。いろんなテーマでしゃべってます。



 昔話からのメッセージ 
◆子どもや若者が主人公の場合は、その主人公が変化しながら成長する
これから先が、今日のメインテーマである、昔話からのメッセージということになりますね。
今までお話したように簡潔で明瞭な文体にのっとって発信されているものなので、それで今までのことお話ししたわけです。
それを前提とします。昔話って言いますとね、「よく教訓話ですね」って言われるんですね。
「道徳教育の話ですね」それはなぜかって言うと、日本では、「はなさかじい」とか「したきり雀」とか有名でしょ。だから。最初に出てくる爺さんはいい爺さんで、後から出てくる爺さんや婆さんは、たいてい悪くて罰せられる。それが有名だからそういうふうに言われる。
あれはですね、最初に出てくる爺さんが、勤勉正直でいいっていうんでたびたび、明治以来教科書に載ったり絵本になったりしただけの話なんですよ。日本の昔話では、けして多数派ではありません。日本の昔話って、だいたい900種類から1000種類くらいある、そう1000種と覚えてもらったほうがいい。その中でああいう隣の爺さんが出てくる話は13種類しかありません。わずかなんです。
僕たちあれを、“隣のじいさん型”と呼んでますけど13種類しかありません。だけどそういうふうに勤勉正直が教育にいいって言うんで、有名になった、だけのことなんです。それもいいでしょ。
ああいう形は、二つ大きな特徴があるんです。
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