ある女の子が、親に死なれて継母に育てられます。その継母にも実の娘が2人いて、3人は、きれいに着飾って遊んでばかりいた。 でシンデレラばかりきたない服を着て、寝るときは灰の中で寝るもんだから、「灰まみれシンデレラ」ってあだ名がつくわけ。 ある時、宮殿で王子の花嫁を選ぶための舞踏会が開かれます。継母とその実の娘2人はきれいに着飾って出かけていこうとする。シンデレラは連れて行ってもらいたいけど、継母は「あんたにはきれいな服がないから、連れて行かないって」、おいて行かれちゃった。 彼女はどうしても行きたくて、実の母のお墓へ行きます。そこに白い鳥が飛んできてきれいな服を落としてくれます。彼女がそれを着ると見違えるように美しいお姫様の姿になりました。 それで宮殿へ行きます。宮殿では王子がもう首っ丈になって、他の誰とも踊らせようとしない。 この人は僕のパートナーだって、実質プロポーズしているわけ。 だけどある時間が来るとさあっと逃げてきてしまう。また汚い服に戻ります。 そしてまた灰の中に寝るんですね。 そうすると継母と二人の娘が、今日は宮殿にどっかの見知らぬお姫様が現れて、王子様と踊った。 王子様はその方に首っ丈だったのよって話をする。シンデレラはまるで人ごとのように、ああそうって聞き流しているんですね。二回目、またおいて行かれます。 そしてまた実の母のお墓へいくと、白い鳥が前よりもっと美しい服を落としてくれた。 彼女がその服を着ると前よりもっと美しくなった。そして宮殿へいきます。 宮殿では、王子がこの間逃げられたお姫様がまた現れたんで、喜んで今度こそどこの誰か素性を確かめようと思うんだけど、また逃げられた。 そして、また汚い姿に戻るんです。で、三回目、またおいて行かれます。 そしてまた実の母のお墓に行くと白い鳥が今までよりもっと美しい服を出してくれた。 彼女はそれを着て宮殿へ行きます。宮殿では、今まで2回逃げられたお姫様がまた現れたんで。王子は、今度こそどこの誰だか確かめようと思って、階段にタールを塗っておいたんです。 で、シンデレラは逃げ帰る時、そのタールに左靴をとられて靴をおいてきちゃった。 それで王子はその靴を手がかりに、足のあう人を探す。 それがシンデレラだった。結局見つけて結婚した。 三回の繰り返し同じ言葉でみごとにやってます。 それはいいんだけど、僕長いこと疑問に思ってたのは、シンデレラは結局王子と結婚している。 だったら、一回目のプロポーズ受けちゃえば良かったじゃない?それなら話は短くてすむよね。 でも逃げ帰ってきてる。またご丁寧に汚い服に着替えて。 「もう私は労働者階級がいいわ」(笑)そうでもない。また、きれいな服もらいに行っちゃう。 あの行ったり来たりは何だったんだ?これは難しかった。長いこと考えた。 ある時ふと気がついた、ああ、これも思春期の子どもの心の行動を語っているんじゃないかって。キーワードは鳥でした。あの実の母のお墓に現れた鳥は何者かということ。 こういうことなんですよ。鳥って言うのは古今東西どの民族でも、死者の魂の化身と考えるんです。人が死ぬと、日本では人は四十九日の間、その家の周りを魂が跳んでるっていうでしょう。 |